特定調停後の過払い請求

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特定調停後の過払い請求
特定調停後の過払い請求の問題点

■ 調停調書には確定判決と同一の効力
■ 「債務を負担していないことを確認する」調停なら問題なし
■ 「相互に債権債務がないことを確認する」調停は問題あり
■ 請求を認めた判例と認めなかった判例両方存在する
 


●特定調停とは

特定調停というのは、借金が増えて、返済ができなくなるおそれのある状態となったときに、裁判所に申し立てて、債権者と話合いをすることを目的とする手続です。簡単に言いますと、支払いが難しくなってきた債務者が、支払いができるように裁判所が仲介して調整するということです。

債権者との間で合意が成立すると、調停調書というものが作成されます。
調停調書には確定判決と同一の効力があります。


●特定調停後に過払い請求できるか?

上記のように、特定調停は貸主と借主が話し合って合意したものですので、原則として双方がその内容に縛られることになります。では、特定調停の結果、債権者との間で合意が成立した後に過払い金が発覚した場合、その返還請求ができるでしょうか。調停の条項には、「相互に債権債務がないことを確認する」というような記載がされている場合がありますが、このような場合でも過払い請求ができるのかという問題です。

ちなみに、最近では、このような条項とはなっていない場合が多く、「債務を負担していないことを確認する」となっている場合が多いようです。借主が債務を負担していないことしか確認しておらず、債権が存在しないことは確認していないため、この内容であれば問題なく過払い請求は可能です。

「相互に債権債務がないことを確認する」となっていれば、争うことができないようにも思えますが、次のような判例があります。


名古屋高等裁判所 平成22年10月28日判決・・・
特定調停は、争いとなっている権利関係について、当事者が互譲することにより紛争を解決するものであるから、単に取引経過を利息制限法所定の利率に引き直した計算結果と調停内容が一致しないからといって、直ちに調停が無効となるものではない。
しかしながら、利息制限法所定の制限利率を超える利息の支払いは、貸金業法によりみなし弁済が成立する場合等を除いて、原則として法律上の原因を欠くのであるから、利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した結果と調停内容とが乖離しており、かつ、借主がその事実を認識しておらず、認識しなかったことについて、貸金業者が正確な取引履歴を開示しないなど、貸金業者側に起因する事情がある場合には、法律行為の要素について借主に動機の錯誤があり、かつ、その動機は表示されているというべきであり、当該錯誤について借主に重錯誤があるとはいえないから、調停は無効になると解するのが相当である。
本件においては、前記のとおり、別件調停当時、取引経過を利息制限法所定の利率に引き直した計算結果と調停内容が乖離しており、弁論の全趣旨によれば、その原因は、控訴人においてA取引の取引内容の全部を開示しなかったため、被控訴人Aにおいて、実際の借受金債務残高を正確に認識できないまま、開示された取引の限度の計算結果を前提として別件調停に応じたものと認められるから、別件調停は被控訴人Aの要素の錯誤により成立したもので、かつ、その動機は表示されていたから無効というべきである。

このケースでは、「利息制限法所定の制限利率に引き直して計算した結果と調停内容とが乖離しており、かつ、借主がその事実を認識しておらず、認識しなかったことについて、貸金業者が正確な取引履歴を開示しないなど、貸金業者側に起因する事情がある」という場合には、調停は錯誤無効であると判断し、過払い金返還請求を認めました。
このような判例があるからといっても、特定調停後の過払い請求について必ず認められるということではなく、場合によっては認められるということであり、調停当時の状況をはっきり覚えていないようなケースでは、調停の錯誤無効を主張するのが難しいケースもあるでしょう。
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